自宅の庭でカフェ開業の簡単マニュアル｜許可やトラブル事例などを解説

「自宅の庭でカフェ開業をしたいけど、本当に可能？」

「どんなものを準備するのか、開業の手続きなどを知りたい。」

庭でカフェ開業を検討している人は、このような悩みをもっている人もいるのではないでしょうか。

開業するための必要な資格や申請方法、保健所での検査基準などを知っていないと、スムーズに開業ができない可能性があるので注意が必要です。

本記事では、自宅の庭でカフェ開業をするための簡単マニュアルや必要資格、申請方法などを詳しく解説します。

カフェ開業までのステップやイメージを、具体的にしていきましょう

自宅の庭でカフェを開業するためには何が必要？

自宅の庭でカフェを開くには、営業許可や資格の取得が必要。地域によっては制限もあります。

ここでは、以下を解説します。

• 営業許可や衛生責任者は必要？
• 開業届は青色？白色？
• 防火管理者

営業許可や衛生責任者は必要？

営業許可と食品衛生責任者の取得は、庭でカフェを開業するためには必須。

飲食店を営業するためには、営業許可を申請する必要があります。

これは食品衛生法に基づいたもので、開業する自治体の条例によって決まっています。

飲食店営業許可の流れを以下にまとめました。

	営業許可手続きの流れ
①事前相談	工事着工前に、施設基準に合格しているかなどの事前確認　※図面持参
②営業許可申請	施設完成予定日約10日前に必要書類を提出
③施設検査の打ち合わせ	施設の確認検査について相談
④施設の確認検査	申請通りか、施設基準通りか確認
⑤営業許可書の交付	保健所で営業許可書の交付を受ける
⑥営業開始	食品衛生責任者の名札を施設内に提示

※参考：厚生労働省　一般的な営業許可手続きの流れ

営業許可と食品衛生責任者は、庭カフェを開業するためには必須です。講習は約1万ほどで受講できます。

地域によってオンラインでの受講も可能な場合があり、栄養士や調理師免許などを事前に持っている場合は、受講は不要です。

開業届は青色？白色？

庭でカフェを開業する場合でも、個人事業主として「開業届」を税務署へ提出する必要があります。

提出は無料で、開業日から1か月以内が目安です。

個人事業主になると、毎年「確定申告」を行い、青色申告か白色申告のいずれかを選択します。

	メリット	デメリット	事前申請
青色申告	最大65万円の控除（複式簿記）が受けられる。赤字を3年間繰り越し可能。家族への給与を経費にできる「専従者給与」も認められる。	記帳や決算書の作成が必要で手間がかかる。	必要（青色申告承認申請書を開業から2か月以内に提出）
白色申告	記帳が簡単で初めてでも取り組みやすい。	控除は基礎控除（48万円）のみ。 赤字の繰り越し不可。節税効果が小さい。	無し

たとえば年間利益が300万円の場合、
青色申告（65万円控除）なら課税所得は235万円、
白色申告（控除なし）なら300万円が課税対象です。
税率10％とすると、青色申告なら約6.5万円の節税になります。

開業届を出さなくても罰則はありませんが、青色申告を選ぶには開業届と同時に申請が必要です。
少し手間はかかりますが、長期的な節税効果を考えると、青色申告を選ぶのが得策です。

節約してカフェを運営したい場合は「青色申告」がおすすめ

防火管理者は欠かせない？

防火管理者とは、店舗の収容人数（従業員＋客席数）が30人を超えるときに必要になる資格です。

店舗の大きさにより必要な資格もかわるため、消防法で定められている飲食店の防火管理者の必要性を以下にまとめました。

収容人数	延べ床面積	防火管理者の必要性	資格区分
30人未満	ー	不要	ー
30人以上	300㎡以上	必要	甲種防火管理者
	300㎡未満	必要	甲種又は乙種防火管理者

※参考：東京消防庁　防火管理者が必要な防火対象物と資格

小さなカフェの場合は、防火管理者の資格は不要になる場合があります。

庭でカフェを開業するまでのステップと費用

庭でカフェを開業するまでには、主に以下の3つがあります。

• 保健所申請のステップ
• 周囲のリサーチとコンセプトを決める
• 開業にかかる費用とコストダウンのコツ

それぞれを詳しく解説します。

保健所申請のステップを確認

飲食店を開業するにあたって、保健所の検査項目すべてに合格することが必要です。

保健所に申請から許可までの流れを詳しく紹介します。

開業までおよそ２〜３週間ほど時間がかります。

スケジュールには余裕をもって進めるとよいでしょう。

保健所申請は２〜３週間かかるので、時間に余裕を持つと◎

周囲のリサーチとコンセプトを決める

カフェ開業に向けては、以下の3つのステップが重要です。

この3ステップをしっかり進めれば、理想の庭カフェOPENがぐっと近づきます。

自宅で庭カフェを開業すれば、家賃不要で初期費用を抑えらることもメリットの一つ。

通勤せずに家事や育児と両立しやすく、柔軟な営業スタイルで長く続けやすいのが魅力です。

庭カフェOPENにかかる費用とコストダウンのコツ

カフェの開業には、店舗のタイプや規模によって異なりますが、費用は一般的に500万円〜1000万円程度と言われています。

庭でカフェを開業したい方は居抜き物件等は選べないので、庭にカフェを建築することがまず前提となります。

母屋で利用されていない部屋をお持ちの方なら、少しのリフォームをして開業することでコストダウンを図れます。

その他には小屋（倉庫型やキット等の利用）やプレハブ、トレーラーハウス等が挙げられます。

比較的安くコストだけを考えるなら小屋、ある程度の強度と早く建てたいならプレハブ、オシャレでSNS映えを狙い、不要時は売却もしたいならトレーラーハウスがおすすめです。

また、助成金や補助金を活用することで、自己資金を抑えることができるので、利用の検討をするとよいでしょう。

庭でカフェを開業する人に人気の営業スタイルを比較

庭でカフェを開業する場合、営業スタイルが様々あるため、人気の3つを紹介します。

• 固定店舗
• テント型
• トレーラーハウス

商品	特徴	価格	まとめ
固定店舗	・コスト高い ・耐震や災害対策は◎ ・固定資産税の対象	10坪：1,350〜2,500万円程度	腰を据えてカフェを開業したい人におすすめ。費用回収までは時間が必要。リフォームならもう少しコストカット可能。
プレハブ・小屋	・比較的早く建築可能 ・断熱性能が低く冷房等の電気代ランニングコストがかかる	150万〜600万円円	耐久性が脆弱のため台風、地震の際の顧客安全リスクを事前にチェックする必要あり。 断熱性能は施工業者による。
トレーラーハウス	・SNS映えする ・固定資産税かからない ・不要となったら売却可能 ・比較的費用は高い	300万〜800万円	外観・快適性・安全性はプレハブよりも◯ 売却まで長期で検討する人におすすめ。

①固定店舗

固定店舗は、庭に小屋や建物を建てて本格的なカフェを作るスタイルです。

内装や設備をしっかり整えられるため、長期的に安定した営業が可能です。

店舗らしい雰囲気や広い調理スペースが欲しい方に向いています。

ただし、建築工事や用途変更の申請が必要となり、初期費用が高くなる点には注意が必要です。

長く腰を据えてカフェを経営したい方におすすめです。

②小屋・プレハブ型

庭にプレハブや木造の小屋を設置してカフェ営業を行うスタイルです。

初期費用が抑えられ、準備も比較的簡単なので、初心者が試しに始める方法として人気です。

イベント時のみの営業や、週末限定の営業にも向いています。

ただし、災害時などの耐震性などに不安が残り、基礎の工事をしっかりと行うことが必須です。

気軽に始めたい方に適しています。

③トレーラーハウス

トレーラーハウス型は、建築工事をせずに庭へトレーラーハウスを設置して営業するスタイルです。

建築基準法の規制が少なく、設置や移動も簡単で、開業までのハードルが低いのが魅力的です。

内装を自由にカスタマイズでき、不要となったら売却できる点もメリットです。

ただし、サイズに制限があるため一度に多くの席を設けにくく、設置場所や自治体によっては追加の許可が必要になる場合があります。

それでも、初期費用を抑えておしゃれな庭カフェを始めたい方には非常に適したスタイルです。

トレーラーハウスを使った庭カフェ開業ってどうなの？

トレーラーハウスでのカフェ開業には、以下の2つが気になるところとして挙げられます。

・なぜ、トレーラーハウス型の庭カフェが注目されているのか？

・工事不要、高性能なトレーラーハウスを導入するメリットとは？

詳しく解説します。

トレーラーハウスカフェはSNSで拡散されやすい

最近、トレーラーハウス型の庭カフェが注目されている理由の一つにおしゃれな外観があります。

豊見城保栄茂にある大東そばと大東ずしのお店ドライブインナナチ。ここは隣の車屋さんが手掛けたトレーラーハウスになってて超おしゃれ。むっちむちの大東そばに、てまり型の大東寿司は1つ100円。カフェメニューもたくさんでゆっくりするのに最高なスポット、、 pic.twitter.com/PTh5hHefbz

— 🧁🍬🍫ペコ@沖縄🍭🍩🍧 (@pecoinokinawa) November 14, 2024

さらにトレーラーハウスは、カフェ建設するよりも初期費用を安く抑えることができます。

オシャレで話題性のあるトレーレーハウスなら、広告費にかかる費用をある程度節約が可能です。

広告費ってどれくらい？
チラシやホームページなど初回制作費合計：20〜60万円前後が一般的。
継続運用を行う場合、月1〜3万円が別途必要です。

内装や外装のデザインの自由度は高いため、自分好みにカスタマイズができるのも魅力の一つ。

さらにカスタマイズや場所にも自由度が高いトレーラーハウスでのカフェ開業は、とても魅力的だと言えるでしょう。

工事不要・高性能なトレーラーハウス導入のメリットとは？

トレーラーハウスは工事不要で、断熱性・高気密性にすぐれ、導入するのにメリットが豊富です。

工事不要で導入できるのは、車検付トレーラーハウスであれば、建築物ではなく車両として扱われるからです。

建築確認申請や基礎工事が不要なため、一般的な固定店舗の設置よりも、低コストで設置することが可能です。

注意点としては、各自治体によって条例が異なるため、設置の際は事前に確認をしておくと安心でしょう。

断熱性能の高い建材にしたり、隙間をなくし気密性を高くしたりすることが可能なため、過ごしやすい環境づくりができます。

小屋やプレハブにはない、高断熱の快適なカフェトレーラーをお作りします。

トレーラーハウスの導入には、熟練職人が施工するLTホームズのトレーラーハウスで、理想のカフェ作りも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

 庭でカフェを開業する際に気をつけたいトラブルと対策

庭でカフェを開業するために、気を付けたいトラブルと対策は以下の2つです。

• 近隣トラブルを防ぐためのマナーと騒音対策
• 雨天や季節による運営リスクの乗り越え方

詳しく解説します。

近隣トラブルを防ぐためのマナーと騒音対策

トラブルや苦情があれば、最悪営業中止しないといけない場合もあるため、注意が必要です。

たとえば、食品の破棄や食べ残しから出る臭いが原因で苦情が寄せられることがあります。

ごみはしっかり密閉し、ごみ置き場を清潔に保ちましょう。

コーヒーの焙煎を行う場合は、香りの匂いが洗濯物に付くことでクレームになるケースもあるため、排気や排気設備で対策しましょう。

参照：環境省　臭気対策マニュアル

また、住宅地の中に自宅があれば、騒音が苦情に繋がることもあります。

遅い時間まで営業する可能性があれば、壁や天井に防音材を使用する対策を検討する必要があります。

車で来店の場合には、路上駐車の苦情がでないように、駐車スペースの確保や分かりやすい表示もしておきましょう。

開業が決まったら、事前に近隣へ挨拶し、もしも苦情が出た際には迅速に対応できるように準備しておきましょう。そうすれば、長く安心して営業ができます。

雨天や季節による運営リスクの乗り越え方

庭でカフェを開く最大の魅力は、開放的な空間で自然を感じながら癒しの時間を提供できることです。

一方で雨や雪の日は利用しにくく、夏は日よけ、冬は防寒対策が必要になるといったデメリットもあります。

さらに、庭の手入れを怠ると清潔感が損なわれ、リピーターが減る可能性もあります。

こうしたリスクを避けるためには、大型パラソルを設置して雨や日差しをカバーし、冬にはひざ掛けや足元ヒーターを用意するなどの工夫が必要です。

庭でカフェをするにあたって、庭の手入れも必要になってくるため、季節に応じた植物を植えるなどガーデニングの知識もあれば尚よいでしょう。

庭の見た目の美しさや、季節や天候にも左右されずに運営できるよう工夫をすることで、運営リスクは乗り越えられます。

庭でカフェを開業する夢を叶えるためのチェックリスト

カフェを開業するために、必要な資格や申請方法を把握することで、スムーズに進めることができます。

開業費用は、店舗のタイプや規模によって異なりますが、一般的に500万円〜1000万円程度必要です。

開業の夢を叶えるために必要な、16項目をまとめました。

・開業予定場所の建築基準法と用途地域の確認

・コンセプト設計

・資金調達

・事業計画書の作成

・物件の選定

・外装と内装などの工事

・食品衛生責任者の資格取得

・30人以上の収容人数の場合、防火管理者の資格取得

・保健所で営業許可手続き

・個人事業主として開業の際、青色申告承認申請書提出

・開業届を税務署に提出

・保健所の施設設備検査をうける

・飲食店営業許可書の交付

また、集客方法も重要なポイントです。

HPやSNS発信、地域のチラシなどで認知度を上げていきましょう。

初期費用を抑えたおしゃれなカフェを目指したいですね。

まとめ｜庭にカフェトレーラーで開業しませんか？

自宅の庭でカフェを開業するには、営業許可の申請や食品衛生責任者の取得が必須です。

収容人数が30人を超える場合は、防火管理者の資格も必要になります。開業届は税務署に提出し、節税を考えるなら青色申告を選ぶのがおすすめです。

カフェの形態は、固定店舗・小屋やプレハブ・トレーラーハウスなどから選べます。

費用は一般的に500万〜1,000万円ほどかかりますが、トレーラーハウスを活用すれば初期費用を抑えることも可能です。

保健所の許可には2〜3週間ほどかかるため、余裕をもったスケジュールで進めましょう。

近隣への配慮や天候対策を行い、SNSやホームページで集客を工夫すれば、理想の庭カフェを実現できます。